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フランスで客室乗務員として働くためには国家試験合格が必須。その内容とは?

2023年9月9日
YACHI (フランス)

フランスでCAになるには国家資格が必要!

これまでフランス就職のリアルストーリーを執筆してきましたが、ホテル業界から難関の入社試験を突破し、再び空を飛べるようになり喜んでいたのは束の間。

客室乗務員としてデビューするためには、なんと国家試験を受けなければいけないことがわかりました。

入社時の2005年はCSS(certificat de sécurité et sauvetage)、現在は CCA(Cabin Crew Attestation)と名称が変更になっています。

フランス人は入社前に国家試験を合格した人のみ応募できます。私たち日本人は入社してすぐは試験を受ける語学力がないため、食事・飲み物をサービスするためだけに乗務を始めます。

機内の安全設備に関してのデモンストレーション、万が一の緊急着陸、避難などの緊急対応はしない要員として乗務します。

入社した時は「フランス語ができなくても大丈夫」と会社から言われていましたが、入社して1年くらい経過した頃、国家試験CSSを受けるための研修が始まりました。

この試験に合格するためには、かなりのフランス語力が必須になってきます。1年ほど乗務しながらフランス語をブラッシュアップしていきます。

この試験は、マークシート方式の筆記試験と実技の2つです。CAはサービス業という位置づけですが、この資格はサービスに関することはまったく触れない内容で、かなり多岐にわたって網羅した内容になっています。

 

看護師になる勉強をしているよう

飛行中の機内で急病人が出た場合、「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか?」という、いわゆる「ドクターコール」が機内でアナウンスされる光景を映画やドラマで目にしたり、あるいは実際に遭遇したという人もいるかもしれません。

実際、機内で体調が悪くなるお客様は、数回に一度の割合であります。

その時に対応できるよう、応急処置、心肺蘇生措置、AEDの使い方などはもちろんですが、心臓右室、大動脈、肩甲骨、頭蓋骨など骨や臓器の名前、てんかん、脳梗塞、腸閉塞、子宮外妊娠(異所性妊娠)などの病気の名前まで覚えました。

また、機内には応急処置のために搭載されている、酸素飽和度測定器などの医療機器、医薬品があります。その名前もフランス語ですべて覚えます。

機内で陣痛が始まった時にも慌てないよう、陣痛から出産までのプロセス、出産後の対応についても具体的に学びます。

頭が出てきたらどうする?へその緒はどのあたりをハサミで切る?赤ちゃんの体温を維持するためにすることは?などです。

もちろん緊急着陸できるよう最寄りの空港へ向かって飛行をしながら、機内でできることはするという意味では、乗務員から時には看護師や助産師として対応することも求められます。

 

いつ起こるか分からない救急・緊急事態に対応するために

機内で命の誕生もあれば、一方、機内で亡くなる方もいらっしゃいます。先日、25年ほど乗務経験で初めて、訓練でなくリアルのお客様の心臓マッサージを経験しました。

それも2023年元旦出発のフライト、羽田空港に着陸した時に起こりました。(興味ある方は⇒機内でまさかの心臓マッサージ&AED

急死するのがお客様でなく、乗務員だったり、機長という場合も考えられます。その場合に備えてのマニュアルもあります。

他には、気象学、雲の名前から、揚力、飛行機の尾翼などの名称も試験の範囲にあります。

時々、私たちのお仕事を揶揄して「空のウェイトレス」と言われることがありますが、CAは食事・飲み物をサービスするだけでなく、いつ起こるか分からない救急・緊急事態に対応するために高度な知識を必要とされています。

特にフランスではエアライン独自の試験だけでなく、どのエアラインの乗務員でも同じように国家資格を持っていなければいけません。お客様に安心して空の旅を楽しんでいただくために・・・。

次回は、国家試験の第2弾、驚く実技試験の内容をお届けする予定です。

Written by YACHI(フランス)

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