生まれて初めて英語に触れたのは、確か小学校3年生か4年生の時だった。
「あんた、英語教室行くやろ?」と、興奮気味に私に問いかける母に「え?う、うん…」と訳も分からず答えた私。
その数日後、当時住んでいた団地の集会所で初めて行われた「子供英語教室」に放り込まれた。
先生は、同じ団地に住んでいた短大の英語講師の男性。私を含めて近所の子供達から「山本先生」ととても慕われていた方だった。
母に言われるがままに出席した初日の授業の光景は、今でも鮮明に脳裏に焼き付いている。
数人の子供達を相手に目を輝かせて、御本人のアメリカ生活体験を交えながら、英単語を黒板に書いて音読して聞かせてくれた山本先生。
初めて目にする英単語達。この瞬間、私の頭の中に稲妻が走った。「え??何?何なの、この楽しい言葉たち!!」
山本先生が書いていく英単語に私の目は釘付けだった。山本先生が読み上げる英語のサウンドを、思わず身を乗り出して聞いていた。
この日私は一瞬にして、「英語」にハートを奪われたのだった。
団地の集会所で英語の虜になって以来、私の「英語熱」は中学を卒業するまで燃え盛っていた。
が、高校に入学してから勉強全般に全く興味をなくしてしまい、社会人になった頃には、私の英語熱は完全に冷めきっていたのである。
だが、「True love lasts forever」というのだろうか。36歳の時、とあるきっかけで忘れていた英語熱が突然再上昇。
「英語をもう一度勉強したい!」という情熱に背中を押され、近所の「コミュニティーカレッジ」の英会話教室に通い始めた。
そこでたくさんの英語好きの人々に出会い、彼らから得た情報を元にネイティヴの講師が在籍する英会話スクールに移り、複数の講師のレッスンを受けた。
この頃は週に1、2回英会話レッスンに通っており、「英語学習は趣味」という意識で続けていた。
だが、その3年後、39歳で人生初の語学留学を体験すべく、私は日本を飛び立ったのである。
39歳の時、生まれて初めての語学留学とホームステイを体験したオーストラリア。早いもので、来年でオーストラリア在住19年になる。
カフェでコーヒーを注文するのでさえ緊張していた「語学留学時代」。それが今では、オンライン英会話講師として働けるまでになった。
スキルを身につけるにはいろいろな事を乗り越えて行くことが必要だが、ここに来て思うのは、「どんな些細な上達でも、その上達に喜んで、そして感謝する」ことで前進していけるということ。
自分にダメ出しすることが日常となってしまいがちな私達。私も語学留学時代は自分の英語スキルにダメ出しの嵐だった。
でも、そんな自分を強く戒めて、自分の英語スキルを「私の人生を豊かにしてくれるパートナー」と変換して以来、私の英語スキルが、豊かで楽しい世界を私に見せてくれ始めた。
私はできないことに遭遇した時、なにか宝物を見つけたような高揚感を感じることが多い。「できない…」と、自分を重い気分に浸して歩みを止めず、ゲーム感覚で「障害物を飛び越える」ように何度も繰り返し練習する。
そして、できるようになった時のあの達成感が、「私の英語スキル」がくれる最高のご褒美なのだ。
自分の宝である「英語スキル」を「愛を持って」育てていくことができるのは、自分自身のみ。最近は自分を「英語オタク」と認め、英語と親密な人生を楽しんでいる幸せに感謝する日々である。
*ワールドトークでオンライン英会話レッスンを提供しています。ワールドトーク講師のKayeです。
Written by 野林薫(オーストラリア)