日本の長期休暇と言えば、春休み、夏休み、冬休みですが、オランダには夏休みと冬休み(クリスマス休暇)の間の10月に、1週間の秋休みがあります。
オランダ語で秋休みは「Herfstvakantie」で、Herfstは「秋」、vakantieは「休暇」という意味。
タイミング的には10月の後半、その前の週末もセットになるので、実質9日間のお休みです。
オランダでは長期休暇に伴う移動の混雑を緩和するために、北部・中部・南部の3つの地域に分けて長期休暇を設定しています。
筆者の住んでいるロッテルダムは中部で2023年は10月14日〜22日、首都アムステルダムは北部で10月21日~29日でした。
この間、サッカーの公式戦もお休みになるので、息子も私も久しぶりにゆったりした週末を過ごすことができました。
オランダの秋は雨が多い季節ではありますが、夏が終わって、本格的に暗くて寒い冬がやってくる前の、自然が美しく、秋の実りが感じられる季節。家族や親戚で集まったり、自然を楽しんだりする人たちも多いです。
夏休みが終わって2,3ヶ月経ち、少し疲れが溜まってくる頃ですし、クリスマスまであと2ヶ月ほど、ちょうど折り返し地点の休暇となっています。
秋休みになってまず驚いたのは、月曜日の朝、うちの周りの駐車場の車の数が一気に減ったこと。そして、道路を走り出すと、ラッシュアワーにも関わらず、かなりスムーズにオフィスに到着できたことでした。
ヨーロッパの人たちはしっかりバカンスを取る文化があるので、「やはり」というくらいにしか思いませんでしたが、夏休みが終わってまだ2ヶ月ほどなのに、秋休みも取る人はしっかり取ります。
同僚でも子供がまだ小学生くらいまでの人を中心に、有給を取る人がいました。私も金曜日に有給を取って、週末3連休にしました。
私は複業をしているので完全な休みではなく、仕事を掛け持ちしなくて良い日だったわけですが、フリーランス時代のような働き方ができて、知人とゆっくり食事に行くこともできました。
でも、子供の休暇に合わせて大人も休暇を取ることができるのは、やはりすごく良いことだと思います。これは間違いなく、子供の幸福度世界一につながっていると思います。
うちの子はもう高校生なのでずっと見ている必要はありませんが、たまに一緒にゆっくり時間を過ごすことで思いがけない話ができることがあります。
親子のコミュニケーションは非常に大切です。普段は忙しくても、たまにゆっくりと親子の会話の時間が取れたら、親子間のさまざまな問題は軽減するはずです。
たとえば、今日本で増えている不登校問題解決の糸口などにもなるのではないでしょうか。
また、秋休みは旅行のシーズンでもあります。
ニュースに「アムステルダム・スキポール空港は10月13日から10月29日までの期間に約330万人の乗客が利用する予想」とありました。 これは2022年の秋休み期間より25%多いそうです。
人気の目的地はロンドン、バルセロナ、ダブリン、マドリードとのことで、あまり遠くへは行かず、ヨーロッパ内で文化や季節の微妙な違いを楽しむような過ごし方が多いのかなと思いました。
我が家も「ポルトガル辺りへ行けないかな」と一瞬考えたのですが、直前だったこともあり、1人300ユーロ(現在1ユーロ約159円)以上したので却下。オフシーズンは片道50ユーロ以下もしばしばなので、すごく高いです。
息子は秋休み開けに試験を控えていますし、私もやることと疲れが溜まっているので、オランダで過ごすことにしました。
結果的には、息子は前に住んでいたところの親友の家に週末お泊まりに行けて超ハッピー、食事の準備をしなくて良くなった私は自分の時間を過ごすことができて、良い秋休みとなりました。
ちなみに、昔は日本にも秋休みがあったそう。昭和30年代までは農村地帯の学校で、農繁期に児童生徒が家業を手伝うために「農繁期等における休業日」として、5日間から10日間ほどの休みが設定されていました。
「秋休み」の呼称はあまり用いられず、「中間休み」「稲刈り休み」等と呼ばれ、長野県や山形県などでは1990年代まで存続していましたが、学校週5日制導入後に授業時間確保のためすべて廃止されたとのこと。
Written by 藤村ローズ(オランダ)