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ペットと一緒に暮らすエクアドル。ペットフレンドリーな国で幸せペット同伴生活

2022年10月1日
マットン美貴子 (エクアドル)

陽気で心優しいラテン獣医に健康管理はおまかせ

ペットと共に海外生活を送る人たちにとって、家族の大切な一員であるペットが滞在国で安全に快適に過ごせるかは、「クオリティー・オブ・ライフ(生活の充実度)」に直結する大きな関心事だと思う。

私もエクアドルに渡る前、「愛犬のチワワが快適に過ごせるか?」と心配だった。でも、そんな不安は早い段階で解消され、日本にいた時より充実したペットライフを送っている。

エクアドルで気になっていたのは、もしもの時の獣医と定期的なグルーミングサービス。

引っ越し後、そろそろトリミングが必要な愛犬のために、ペットサロンはないか探していたら、偶然、獣医兼グルーミングをしている店を近所に見つけた。

サービスをお願いすると、フレンドリーな獣医ドクター・ディエゴがお迎えに来てくれる。車を持っていない私にとってはありがたいサービスだ。

グルーミングは送迎付きで、お手頃価格の24ドル(約3400円)で便利なので、大満足で利用している。

ある日、愛犬が夫の同僚の裏庭で遊んでいたところ、何かに噛まれて顔が大きく腫れる事態が発生した。

急いでドクター・ディエゴに連絡したら、すぐにかけつけてくれた。愛犬のぐったりした様子と傷跡を見て、いろいろ質問してきたけれど、私のスペイン語力ではうまく説明ができなかった。

彼は「検査をする」と言い、犬を急いで病院に連れて行ったが、数時間後にドクター・ディエゴが英語の堪能な獣医仲間を介して夫に連絡を取り、愛犬の容態を説明してくれた。

後に夫が「もし襲ったのが毒蛇で、あまり時間が経ちすぎていると命に関わるらしい。血液検査や抗生物質を投与して様子を見ているけど、君に直接伝えると動揺するかと思って僕に連絡してきてくれたよ」と教えてくれた。

その日の終わりに、抗生物質の投与と経過観察を終えた愛犬を家まで連れてきた際に、ドクター・ディエゴは自分の携帯番号と、友人である24時間対応の獣医の連絡先を記した手書きメモを渡してくれた。

そして「友人にも話は通してあるから、何かあったらいつでも連絡して」と言ってくれた。あの時ほど、手書きのメモがこんなに温かいと感じたことはない。

幸い愛犬を襲ったのは毒蛇ではなかったようで数日かけて徐々に体力は回復したけれど、食欲が戻り、元気に歩き回れるようになるまで、家まで様子を見に来てくれた。

この件で、私の中でドクター・ディエゴとエクアドルの獣医に対する株は爆上がりした。この獣医さんだけではなく、グアヤキルでは獣医の看板をあちこちで見かける。みんな、いきつけの獣医に安心してペットの診療をしてもらっているようだ。

 

ペットフレンドリーな場所が多いエクアドル

エクアドルにはペット可のカフェも数多くあり、特にペットの可否を掲げていない飲食店でも、気軽にペット同伴客を迎え入れている様子だ。

私は愛犬同伴の際はパティオ席で食事をするのだが、店内飲食をペットと楽しんでいる人も時折見かける。一度、日本でもおなじみのファーストフードチェーンの店内で、シベリアンハスキー同伴で注文している人を見てびっくりした。

ペットフレンドリーなホテルも多い。エクアドルの第三都市、クエンカへ旅行の際は近郊にある人気ホテルがペット可だと聞いたので、そこで宿泊した。

豊かな自然に囲まれた山あいにある、すてきなホテル。「本当に大丈夫かな?」と愛犬と足をロビーに踏み入れた私が目にしたのは大型犬のジャーマンシェパードだった。ほかにも犬連れ客が何人かのんびりとお土産コーナーやソファでくつろいでいる。

スタッフが、「当ホテルにはペット立入禁止の場所はありません。どこに連れて行っても大丈夫ですよ」と言ってくれたので、館内レストランでの食事も愛犬とゆっくり楽しめた。

窓越しに寄ってきたシカや動物たちを興味深げに見つめる愛犬の姿には思わず笑みがこぼれる。旅行先の美しい景色や街並みを家族の一員である大切なペットと楽しめるなんて、飼い主にとっては最高である。

そのホテル以外でも、事前にペットの同伴を確認すると「OK」と言ってくれることが多い。一度など、部屋に犬用のベッドとオモチャとフードボウルを用意してくれていた。

郊外の素朴な感じの宿も犬OKが多く、オーナーが飼っている犬が部屋の外の廊下でのんびりと寝そべっていることもあった。

 

快適生活のカギは、やっぱり「しつけ」

ペット同伴するにあたり、細かい規定を説明されることはないけれど、カフェやホテルなどの場所をペットと利用する際の暗黙の了解として「きちんとしつけのされた犬であること」があるように感じる。

「公共の場で他者に迷惑をかけることはないか?」の判断はペットオーナーの良識に委ねられているのだと思う。実際に今まで他の利用客に迷惑をかけているペットを見かけたことはない。

どんなに自分の愛するペットでも、他人に迷惑をかけると肩身の狭い思いをする。きちんと社会性を持ち、人間と仲良くできるペットに育てることは飼い主の責任で、それができるからこそ楽しいペット生活が送れるのだと思う。

日本では動物が苦手とか、アレルギーのある人に配慮して大半の施設がペット不可だったり、同伴可でも行動制限があったりする。もしかしたら、エクアドルでは日本のように「人間は家の中、ペットは外」という概念が強くないのかも。

ただし、やはりペット利用可だと掃除の手間などがかかるのか、ホテルではペット追加料金が発生する場合もあるので要確認である。

ペットは私たちに大きな癒しと幸せを与えてくれる。エクアドルの充実したペットサービスのおかげで、私のここでの生活満足度も高い。

しかし、ペットブームの影で助けを必要としている犬猫たちのことを考えると心が痛む。環境問題同様、人間と動物のかかわりについて、世界中が考えないといけない課題なのだと思う。

世界中の動物と人間がお互いを尊重しつつ暮らせる健全な世界が実現することを、わが愛犬の寝顔を見ながらいつも願っている。

Written by マットン美貴子(エクアドル)

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