現在、オーストラリアの肥満率がすごいことになっている。
つい先日、ネットの健康関連記事に記されていたオーストラリアの肥満率に、思わず驚愕の声を上げてしまった。
2017年から2018年に行われた調査によると、オーストラリアの18歳以上の人口の肥満率は67%にも上り、なんと3人に2人が過体重(Overweight)もしくは肥満(Obesity)という結果が出ているのだ。
ちなみに、2歳から17歳までの子供達は、4人に1人が過体重もしくは肥満という結果となっており、こちらもかなり高い比率となっている。
「肥満」と聞けばすぐさまアメリカを思い浮かべていた私だったが、まさか自分が住むオーストラリアがこんなことになっていたとはかなりのショックである。
ショッキングな肥満率を示す反面、私が暮らすシドニーでは健康志向の人々もたくさんいる。
引き締まったボディを自慢するかのように、クロップトップとレギンスでジョギングやウォーキングに勤しむ人達や、公園や広場では、パーソナルトレーナーについて筋トレする人達、仕事の昼休みにグループフィットネスクラスに参加する人達も多い。
栄養士によってしっかりとカロリー計算された食事の宅配サービスも数多くあり、スーパーには健康志向の人達をターゲットにしたたくさんの商品や食品が所狭しと並べられている。
これは私がシドニーに住み始めた16年前にはあまり見なかった光景であり、肥満率の上昇と共に、健康志向の人達も確実に増え続けていると言えると思う。
でも、やっぱり自分の身近な人々を見てみると、その肥満率上昇に少し納得がいく気もするのである。例えば、私の一番身近な場所である「職場」に目を向けてみると…。
ニュージーランド人の同僚Aさんは、身長約160cmの彼女は去年、体重が120キロに到達。
膝にかなりの負担がかかるようになり、思い切ってジムに入会。パーソナルトレーナーについて、約1年で30キロ減量。現在もジムに通い続け、さらなる減量にチャレンジしている。
ギリシャ系オーストラリア人女性のBさんは身長は160cmにも満たないが、体を揺らしながらゆっくり歩き、床に落ちているものを拾う時に体をかがめるのに少し苦労している様子。
Bさんは数週間前から減量目的の食事の宅配サービスを受けているが、運動が大の苦手らしく、エクササイズにはいまだ二の足を踏んでいる。そんな彼女はよく偏頭痛や不眠を口にしている。
私がサポートしている精神障害を持つクライアント達も、過体重や肥満による糖尿病や高血圧症を患っている人が多い。
オーストラリア政府は、この右肩上がりの肥満率をかなり懸念しており、National Obesity Strategy 2022-2033 という、10年計画で肥満率を減らす対策を打ち立てた。
この国家肥満戦略は、オーストラリアにおける過体重と肥満の予防、減少、治療のための10年間の行動枠組みである。
予防に重点を置いているが、過体重や肥満を抱えるオーストラリア人が最も健康的な生活を送れるよう、より良くサポートするための行動も含まれている。
公園や広場には誰でも無料で使えるワークアウトの設備があるところもかなり多くなってきたし、バランスの取れた食事の啓発もさかんに行われている。
実は私自身も過去に約15キロの減量をオーストラリアで経験している。
現在は週に3回はジムのフィットネスクラスに参加するほどエクササイズ大好き人間となり、食事の量も腹6分あたりで満足できる。
体が軽くなると心まで軽くなる。オーストラリア政府の対策で、今後少しでも肥満率が下がることを願ってやまない。
参照:The Australian Bureau of Statistics
Written by 野林薫(オーストラリア)