インドネシアという国は、いわゆる「先進国」というカテゴリーに入らないので、外から見るとまだまだ先進国に遅れていることが多いように見えるかもしれません。ですが、必ずしもその通りではありません。
イスラム教徒が国民の8割を占めるインドネシア。テレビやネットのニュースで見る、特に中東のイスラム諸国でのムスリマ(イスラム教徒の女性たち)たちは活躍の場が少なく、一歩男性の後ろにいるイメージがまだまだあるかもしれません。
確かに宗教の面では様々な伝統やしきたりで物理的に「女性は後ろ」ではあるのですが、先進国であり長年経済トップレベルの日本よりも進んでいることもあるのです。
それは、女性リーダーの活躍です。インドネシアの社会では、多くの女性たちが男性と対等に活躍しています。
それを色濃く表す一番の例が、インドネシア共和国第5代メガワティ大統領でしょう。
ジャカルタ出身で、インドネシア初代大統領スカルノの長女でもある彼女は、2001年7月23日から2004年10月20日の間大統領を務め、任期を終えた後も、党の代表としてトップに立ち続けています。
日本ですら未だに国のリーダーになった女性がいない中、インドネシアでは今から20年以上も前から女性大統領を輩出しています。
現在のインドネシアの内閣メンバーを見ても、6人の女性大臣が活躍しています。一方、日本の現内閣の女性大臣は2人にとどまっており、インドネシアの3分の1です。
現職女性大臣の内、Sri財務大臣はアメリカフォーブス誌の「世界で最も影響力がある女性 (2022) 」で47位にランクインしています。
同ランキングの49位には、インドネシア国営石油会社PertaminaのNicke社長もランクインしました。Pertaminaでは、Nicke社長以外にファイナンスダイレクターも女性が務めています。
女性の活躍は国営企業に限らず民間企業でも見られます。インドネシアでトップのEコマースTokopediaも、初の女性CEOが就任しました。
このランキングを見た時に驚いたことは、50位以内に世界のトップを走っているはずの日本や韓国の女性がランクインしていなかったことです。
日本人女性は56位と57位に、韓国人女性はなんと85位になるまで登場しませんでした・・・。
政治の世界でも、ビジネスの世界でも、日本や韓国にいかに男性社会の文化が根強く残っているかを表しているのではないかと思います。
他のアジアの国々の女性たちは17位~50位までに複数ランクインしているにも関わらずです。
私自身、フリーランスになるまで10年以上インドネシア国内の複数の会社で勤務してきましたが、インドネシア人社員の「女性の働きにくさ」はほぼないのではないかと思います。
もちろん企業体質は各社違いますし、男性・女性関係なく上司の方針などで、働きにくさを感じる人たちは一定数いると思います。
ですが、先述のフォーブス氏で上位にランクインしなかった日本や韓国での女性の働きにくさとは本質的に違うのでないかと思います。
韓国ドラマや、日本のメディア・SNSで得た限られた情報から得た私見ではありますが、日本や韓国での働く女性の家事や子育ての負担がインドネシアよりも大きいことも理由の一つに思えます。
最近では日本でも、家事代行サービスが以前よりも普及してきたと聞きます。
でも、シッターサービスについては、日本の友人いわくまだまだ料金がかなり高く、市民権は得ていないとのこと。それに加えて保育園の空きがなかなかないことなど、社会的に問題になっていると聞きます。
ここインドネシアで恵まれた環境の中で働き、子育てをできていることに感謝をせずにいられません。多くの女性が息苦しくなく働き、子育てができる社会が実現することを祈ります。
Written by 杏子スパルディ(インドネシア)