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この人はタダモノではない。マレーシアの億万長者から学んだ成功哲学

2023年6月14日
土屋芳子 (マレーシア)

第1章 シンガポールでのカオスな出会い

マレーシア、ジョホールバルからこんにちは。土屋芳子です。

多くの方と出会い、話をする中で、「この人はタダモノではない」と感じることがあります。そう感じた方のことをさらに知りたくなります。

今回は、ドラマのような人生を送っていらっしゃるマレーシアの億万長者の人生についてを伺ったので、小説仕立てで書いてみました。実話です。


シンガポールのヴァガボンドホテルを彷彿とさせるような、多くの絵画が飾られた深紅の空間の雰囲気に魅了されたのは、中華料理店「Grand Straits Garden LEGEND PARK MALAYSIA」で行われたチャリティーイベントでのことだった。

このイベントの主催者である中国系マレーシア人の男性に話を聞くと、なんとこの絵はすべて自分で描いたもので、この新旧、西洋と東洋が混在するカオスな雰囲気は、すべて自分の頭の中にあるものだと言う。

私は彼の頭の中で何が起こっているのかもっと知りたくなり、彼の人生について話を聞き続けた。

 

第2章 起業家・投資家としてのブルース・リー

彼は自分の名を、ブルース・リーと言った。

1974年生まれの彼(リーは本名)は、1973年に亡くなったカンフーのレジェンド、ブルース・リーの人生に敬意を表してこう名乗っているという。

彼は不動産やビジネスにおいて、計算されたリスクを取ることに秀でた起業家であり、投資家である。

投資先は、ランドバンク開発、食品・飲料、金融、サービス業などのベンチャー企業。より高い報酬を得るために、付加価値のあるビジネスに投資している。

7歳の時にモノポリー(人生ゲームのようなもの)で遊びながらビジネスの仕組みを学び、徐々にビジネスの世界に入り、大人相手に宝くじを売ってお金を稼ぐようになったと言う。

大学に入学して3カ月で正規の教育から離れたが、それでも仕事をしながらビジネスの知識をひたすら追い求めた。2003年、オーストラリアのRMIT大学にてMBAを取得。

 

第3章 試練と勝利の旅路

ブルース・リーの起業の旅は、ささやかなものから始まった。

10代の頃、最初の土地として4エーカー(約16,000平方メートル)の農地を10万リンギット(約300万円)で購入。この土地は現在も所有している。

その土地は時を経て、現在では400万リンギット(1億2,000万円)以上の価値を持つに至っている。

インフレを除けば、元値の40倍という大幅な値上がりで、土地の賃貸料として年間3万リンギット(約90万円)の定期収入があり、購入価格に対して年間30%という驚異的なリターンを得ている。

彼は物件の付加価値と売買の繰り返しで富を得た。20代前半ですでに2000万リンギット(6億円)以上の純資産を所有している。

しかし、資産価値が高まっていた30代後半、ビジネスパートナーと部下に騙されて会社の資産をすべて横領され、無一文になるという信じられない挫折を経験する。

意気消沈した彼は、「考える時間を持とう」と一人で放浪の旅に出た。数ヶ月後、ある寺で妻に見つかり、家に帰ることにした。

 

第4章 復活と創造の力

店内の絵はすべて彼が描いたもの

ブルース・リーは、再起のために「必ず守るべき」3つの原則を掲げた。それは「思いやりの心、合理性、そして合法性」である。

この3つの原則を念頭に置いて彼は前進し、1年以内に巨額の富を集め、カムバックしたのだ。

その後、再びF&B業界に投資の範囲を広げ、2018年に30年の歴史を持つ老舗レストラングループ「Grand Straits Garden」を買収し、3年以内に付加価値をつけて高いリターンを得るべく反転させることを目指した。

2020年のCOVID-19の流行で大きな障害に直面し、レストランをDanga Bay JBから新しい場所LEGEND PARK MALAYSIAに移転することを余儀なくされた。

彼はこの逆境でも諦めず、この時期に3年の歳月をかけて、レストランの従業員と共にレジェンドパークとレストランの全てを作り上げた。

彼は「どんなビジネスにも浮き沈みがあり、それはタイミングと “運 “に左右される」と信じている。

彼はこの逆境でも諦めず、3年の歳月をかけてこのレジェンドパークを建設し、レストランをJB州ダンガベイに移転させた。

想像できるだろうか?石垣や植栽、改装のための工事などの全てを、シェフやホールスタッフなどが手を取り合った。この間、レストランは営業しておらず、売上はゼロだった。しかし、従業員のほとんどは彼の元に残っている。

 

第5章:変化を受け入れ、レガシーを残す

ブルース・リー作壁画「クジラの魂」

そして彼は、6,000平方フィート(557平方メートル)の壁画「クジラの魂」を8時間かけて一人で描き上げることに成功し、自分の隠れた才能を見出した。

プロの壁画職人なら数人がかりで数ヶ月かかるところを、たった8時間で完成させたのだ。それ以前は、壁画を描いたことは一度もなかったというのに。

ブルース・リーは、人生は短いということを実感し、家族や地域社会で役割を果たした後、ビジネスから引退し、慈善事業やNGOへの参加にもっと時間を割きたいと考えていた。

彼は過去30年間、アーティストのスポンサーや支援を行ってきた。

ブルース・リーは、「情熱と努力の掛け算が専門知識を生み、専門知識と努力の掛け算が成功につながる」と信じている。

成功を生むのはシンプルな公式なのだ。そして、人生で成功するための最も重要な要素は、どんな仕事であれ、努力することである。

ブルース・リーの哲学から学んだ彼の言葉に、私は深い感銘を受けた。おわり

Written by 土屋芳子(マレーシア)(監修: Bruce Lee)

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