MENU

これまで築いてきた学歴やキャリアに見合う仕事を現地で得る方法は?

2023年8月2日
岩井真理 (日本)

ドイツ在住40代後半D美さんのお悩み

このコラムでは、世界中の読者から寄せられた仕事やキャリアに関するお悩みに対して、キャリアコンサルタントの岩井真理さんにご回答いただいています。

お悩みは随時募集していますので、お問い合わせフォームの「キャリコン真理さんへのご相談」を選択してお送りください。

【相談】

ドイツ在住40代のD美です。私はこれまで築いてきた学歴やキャリアに見合う仕事を現地で得られない、という問題を長年抱えてきました。

留学を経て、国際結婚をきっかけにドイツに移住しました。ドイツは専門社会ではありますが、とても官僚的だと思います。学位や資格の認定も厳しく、日本で取った資格を活かすことができません。

実際「日本に帰るしかないか」と何度泣いたことでしょうか。結婚しているので今のまま生活を続けていくことはできますが、できればこの国で自分のキャリアを活かせる仕事をしたいと望んでいます。

もう40代後半ですが、ドイツで自分のキャリアを活かした働き方は可能でしょうか?

 

時代や環境に合わせて、いかに自分を「微調整」できるか

【キャリコン真理からのお返事】

D子さん、こんにちは。世界中どこにいても輝けるキャリア&ライフを応援する真理です。

留学を経て、国際結婚のためドイツ移住されたD子さんは、これまで培った学歴やキャリアに見合ったお仕事が得られず、長年悩んでいらっしゃるのですね。

「日本に帰るしかないと何度泣いたことか」というほどの悔しい思いをされたのは、いかに努力を重ねられたかという証ですね。その力が認められないのは実に残念ですし、もったいないことだと思います。

ところで、現在のような変化の激しい時代においては、国内外を問わず、時代や環境に応じて、社会で求められる人材像や能力も、変化しているのも事実です。

多様化の時代だからこそ、固定して定義することが難しくなっています。

もちろん、長期的に変化しない基本的要素も重要ですが、時代や環境に合わせて、いかに自分を「微調整」できるかがポイントになっている気がします。

かつて「この分野ならこの人」という感じで、長年職人みたいに得意分野で活躍してきた方でさえ、最近は同じスキルや知識が長期間通用しないことが多くなってきました。

今まで10年くらい使えてきたノウハウも、5年、いや3年で使いものにならない時代がやって来ました。変化の早い時代です。

 

社会が必要としているものを見極める視点で考えてみる

最近では「リスキリング」ということが盛んに叫ばれています。

リスキリングとは、「新しいことを学び、スキルを身につけ、新しい業務や職業に就く、学び直し」のことです。主に企業の人材戦略の一環としてその取り組みが始まっています。

とはいえ、今までの経験を全くゼロにするということではありません。今までの経験を土台として、その上に時代や環境に合わせたものを積み上げて、より今に合ったものへ上書きしていくのです。

このリスキリングの考え方を、異なる環境である海外でのキャリア形成に役立てられると、私は考えます。

D子さんの専門分野が分からないので具体的なことは言えませんが、「仕事を得る」にはニーズがなければなりません。

提供したいものだけを主張するのではなく、社会が必要としているものを見極める視点で考えてみることをお勧めします。

ご自分のお持ちの専門性にピッタリと当てはまらなくとも、今いる社会が必要としていて、D子さんの知識やスキルが少しでも活かせることはないでしょうか?

以前と全く同じではないけれど、その一部が重なったり、少しだけ「微調整」したら、十分にこれまでのキャリアを活かせるのではないでしょうか?

 

「日本人だから」ということを逆手にとって強みに

さらに海外だからこそ、「日本人だから」ということを逆手にとって強みにするのも一つだと思います。そこに日本人の自分が提供することの意味が見いだせれば、意味ある役割を担えそうです。

私自身も海外生活の中で模索した時期がありました。場所も違うし、誰を相手にしたら良いのか、全く分かりませんでした。

でも、専門性だけにこだわらず、少しだけ視点を変えて考えてみたら、私は「人の話を聴くこと」ならどこにいても、どんな方法を使ってもできることに気づきました。

ちょうどコロナも相まって、オンラインが浸透してきた時期でした。少しずつできることを続けていたら、お声をかけていただけるようになり、実績ができて、だんだんと自分の専門に近づいてきました。

新たな学びも必要でした。苦手なことも含めて、チャレンジを強いられる場面もありましたが、有難いことに、これは間違いなく「成長」に繋がりました。

つまり、リスキリングしたわけですね。変形パターンで試してみることで道が開けることもあります。それも一つの挑戦です。

「変化」=「成長」だと実感するには、柔軟な発想と固定観念にとらわれない自由さが必要です。

D子さん、まずは小さな一歩を踏み出してみませんか?もう遅い?

いや、今ならまだ、これからの人生の中で1番早いスタートです。

個別のご相談、海外での生き方や働き方へのお悩みサポートは、aries.mariwai@gmail.comまで。件名に「世界ウーマンのコラム見ました」とお入れ下さい。

Written by 岩井真理(日本)

この投稿をシェアする

イベント・セミナー一覧へ
コラム一覧へ
インタビュー一覧へ
ブックレビュー一覧へ
セカウマTV一覧へ
無料登録へ