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スイス・ジュネーブ大学、フルタイムで働きながら海外MBA②

2024年3月6日
Towami (ドイツ)

ジュネーブのレマン湖にたたずむ白鳥と、見入ってしまうほど美しい湖の色

開始前は緊張でいっぱいだった

こんにちは、ジュネーブ生活8年、フランクフルト生活6年目のTowamiです。前回のコラムではフルタイムで働きながらスイスのジュネーブで受講したExecutive MBAについて書きました。

今回は開始前の不安と実態、実際のカリキュラムや、面白かった授業とそうでなかった授業、受講中に起こった問題などをご紹介したいと思います。

MBAを始めた2015年の当時私はちょうど30歳になったところでした。

がんばっていたフランス語のDALF C1というレベルの試験に2014年11月に合格し、MBAの入学面接や手続きも終え、当時付き合っていた人とちょうど別れたところでした。

なので、MBAを始める前の春から夏にかけては、色々な友達と毎日のように飲みや食事に出かけて、当時精力的に取り組んでいたアルゼンチンタンゴや、ミロンガと呼ばれる自由に踊る練習の場や屋外のサルサのイベントに行って踊って、旅行して、自由な生活を謳歌していました。

MBAが始まる前の7月に「こんなに羽を伸ばして楽しく毎日遊んで過ごしているのに、突然ガリ勉の生活になってしまって本当に大丈夫なのだろうか?」と突然ものすごく心配になりました。

気楽で楽しい生活がガラっと変わってしまうことに、ものすごい恐怖を感じていました。実際に授業が始まったのは8月末。緊張でいっぱいでした。

 

実際始まってみてどうだった?

ストリートフードフェスティバルはジュネーブの大好きなイベントの一つでした

ドラスティックな生活の変化だったにもかかわらず、意外と違和感なく新しい生活スタイルに溶け込んで行きました。

新しいことの学び、とにかくついていかなきゃというモチベーション、新しい仲間との出会い、授業の後にみんなで飲みに行って、楽しく話して騒いだり…。

ただ飲みに行ったり踊りに行ったりして刹那的に楽しむのとは違って、一緒に一つの目標に向かって頑張る仲間と過ごす時間は別の楽しさがあり、変化は全然辛くはありませんでした。

同時期に後に夫となる彼と出会い、授業の復習や宿題を手伝ってもらったりして、私の時間の過ごし方や生き方が変わったお陰ももちろんあったと思います。

また、受講中は、

・平日フルタイムで仕事
・仕事の後に次の授業までに宿題課題に取り組む
・週末も課題を終わらせるために毎日数時間取り組む
・隔週で金曜の午後と土曜日終日は大学の授業
・授業の後は軽く大学の友達と飲みに行ったりご飯を食べたり

というライフスタイルでしたが、それでも週末に大学以外の友達や彼氏と出かけたりもできたので、結局犠牲にしたものはそこまで大きくなかったように思います。

ただ、2年間いつも何かに追われている感じはありました。

 

ジュネーブ大学ExecutiveMBA2年コースの内容

夜のレマン湖とジェド(Jet d’eau) 噴水のライトアップ

ジュネーブ大学のExecutiveMBAは2年間のコースで、

・1年目に基本的なMBA項目(戦略的マネジメント、ビジネス経済、組織デザイン、マーケティング、人事、企業会計の基礎、グローバル組織マネジメント、業界分析、リスクマネジメント、など)を学ぶ。
・2年目はそのままスタンダードなMBAを続けるか、専門性のあるマスターコースに進むかを選べる。
・1年目の終わりから2年目の終わりにかけて、小グループでの卒業論文の出稿と提出が義務。

2年目に専門性の高いマスターコースに進む場合は、例えばマーケティング専門、コモディティトレーディング、航空、アントレプレナーシップ、国際機関で働きたい人向けの講座などから選ぶことができました。

私は特に専門性を高めたいとは思っていなかったので、スタンダードなMBAの2年目コースに進みました。

スタンダードMBAの2年目は応用編で、コーチング、国際法、企業の社会責任、グローバル戦略、クリエイティビティ、パブリックスピーキング、パブリックライティング、アントレプレナーシップの基礎(新規ビジネスの組み立て方)、交渉術、などについての授業がありました。

1年目の授業では、伝統的なMBAで使われる名著を読んで講義を聞くなど、正直少し現在に即していない内容も多く、退屈に感じる授業も多々ありました。

例えばマーケティング。昔ながらのマーケティング理論を学んだだけで、今主流のオンラインマーケティングやSNSマーケティングなどにはまったく触れずで、あまり実践的ではなかったと感じました。人事なども、あまり実践的な内容ではありませんでした。

 

心に残った授業は?

カリブ海?と目を疑うほど美しいジュネーブレマン湖のビーチ「ベイビープラージュ」

一方で心に残っているのは、業界分析と企業会計の基礎です。

業界分析ではレガシー企業が昔からながらのビジネスモデルから脱却できず、衰退して行ったたくさんの例と、うまく社会の変化に合わせて新しいビジネスモデルを確立できた企業の例などを比べて、マネジメントのマインドセットの違いなどについて学びました。

また、ある業界を見る時に最低限確認すべき競争に関するチェックポイントなど、その後色々な組織について考える際の土台となる知識を得ることができました。

企業会計の基礎も、実際に手を動かして理解が深まりました。

2年目の方が実践的でユニークな授業が多く、例えばアントレプレナーシップ(新しいビジネスの組み立て方)では、どうやってターゲット顧客を定めるか、KPIのみならずKFI (Key failing indicator) を設定して、うまくいかなかった時に止められる指針を作ることなど、面白いアイデアを学ぶことができました。

パブリックスピーキングもTEDのスピーカーに指導しているスペシャリストを講師に呼んで、実際にひとりひとりプレゼンをして、皆に直してもらうという練習を2回ほどして、準備の方法や立ち振る舞い方なども学びとても面白く、役に立ちました。

コーチングも実際の手法を学び生徒でお互いに練習したり家族や友人を練習台に試してみたりでとても実践的で、また企業の社会責任もこのコンセプトが生まれた歴史から学んだり、ワールドエコノミックフォーラムのオフィスがあるジュネーブならではの学習素材が多く面白かった授業の一つです。

 

Written by Towami(ドイツ)

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