2022年の春に始まり、2年間ほど相次ぐ試練に打ちのめされそうになりましたが、ようやくどん底から這い上がる力が出てきた今日この頃です。
「今までと同じことをしていたら何も変わらない」、そう強く思った2023年年末。
「2024年は新しいことに挑戦しよう!」と、2年間のサバイバルモードにピリオドを打つことを決めました。
そのタイミングで教会でコーラスのメンバー募集という機会に恵まれ、深く考えずに目の前にあるチャンスに飛びつきました。
小学校から高校まで毎年のように合唱コンクールがありましたが、歌うことが得意ではない私にとっては学校の行事の一つでしかありませんでした。
クラスみんなでワイワイ練習するのは楽しかったのですが、歌うことと私は縁のないものだと思っていました。
息を正しく使うこともままならず、歌うと喉にものすごく負担がかかり、喉が疲れてしまうため、歌うことが楽しいと思うこともほとんどありませんでした。
思い返せば、歌うことに対してなにかしらトラウマのような感情がずっとあったのかもしれません。
小学校4年生の時、初めて「裏声」と「地声」について教わり、裏声で歌っていたつもりの私でしたが、先生から「裏声で歌ってね」と言われ、みんなの前で指摘されたことが恥ずかしくて泣いてしまったことがあります。
あの時の音楽の先生を責めるつもりはまったくありませんが、この出来事以来「自分は歌えない人だ」と信じるようになったのかもしれません。
歌が下手だと思っていたので、好きな歌を口ずさむことはあったものの、カラオケにも興味はなく、音楽の時間以外で歌う機会もありませんでした。
そんな私がクリスチャンになり、毎週の礼拝で讃美歌を歌うようになってから、歌うことに喜びを感じ始めたのです。
「心打たれる素敵な讃美歌をもっとうまく歌えるようになりたい」という真剣な祈りとなり、昔のように喉に負担を感じることもほとんどなくなり、歌う喜びと楽しさを満喫できるようになりました。
ボイスレッスンを受けたこともない私ですし、素人の自己満足ではありますが、以来、毎週日曜日の讃美の時間は最も楽しみな時間となりました。
月に一度開かれる讃美ナイトは、2時間休みなく讃美歌を歌い続けられる至福のひと時です。
そして、先週の日曜日に最初のコーラスの練習がありました。
一人一人順番に発声し、パート分けからスタート。10人ほどの小さなグループですが、人前でソロで発声するのは初めてで少し緊張しました。
自分のコンフォートゾーンから出ると決めたことを思い出し、周りの人を気にせず、自分の声の導くままに発声してみると、出せると思っていなかった高い音が出ました。
これには自分もビックリ!学生の頃ずっとアルトだった私は、自分にあんなに高い音が出せたことが不思議で、誰か他の人の声を聞いているような錯覚に陥りました。
「信じらない!」と驚きの表情の私に向かって、同じく昔はアルトだった一人が「私たちは子供たちに向かって大声で怒鳴ってきたから、昔よりも高い音が出るようになったんだよ。しかも、あなたは男の子三人だからね」と冗談まじりの一言。
「息子たちがソプラノにしてくれたのか!」と返し、みんなで大笑いしました。
パートが決まった後は、早速一曲目、讃美歌66番「Holy Holy Holy(「聖なる聖なる」)」の練習に入りました。
ソプラノ、アルト、テナーのパートを教えてくれるリーダーの指示に従って自分のパートを練習し、初日の練習が終わる頃には、綺麗な音色のハーモニーが響き渡っていました。
「コーラスの誕生です!」というリーダーのコメントに一同拍手と歓声。学生の頃にさまざまな学校行事で、クラス一団となって努力した時の喜びが蘇ってきました。
新しいことに挑戦することで、新しい世界を発見でき、新しい自分が作られていくことを実感したこの日。
遅すぎるなんてことはない、今後もどんどん新しいことに挑戦し続けることを心に決めました。
コンフォートゾーンから踏み出たこの日の小さな一歩は、これからの私がどんどん変わっていくエネルギーとなる予感がしています。
Written by 林いくえ(カナダ)